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菊盆栽の作り方完全ガイド|初心者でも一年で開花させるコツ

菊の花のイラスト入りスライド表紙 盆栽の育て方

こんにちは。武雅(たけみやび)です。庭先で凛と咲く菊を見て、これを小さな鉢の中で大樹のような姿に仕立てられたら素敵だなぁと思ったことはありませんか。盆栽の菊の作り方は、一般的な松や真柏とは違って、たった一年という短いサイクルでその姿を完成させるという、他の盆栽にはない独特の面白さがありますよ。でも、いざ挑戦しようとすると、小菊盆栽にはどんな種類があるのか、針金掛けの時期はいつが最適なのか、あるいは途中で枯れる原因は何なのかなど、分からないことだらけで不安になってしまうかもしれませんね。私自身、最初は手探りでしたが、ポイントをしっかり押さえれば初心者の方でも一年で立派な一鉢を仕上げることができますよ。この記事では、苗の選び方から季節ごとの管理、病害虫への対策まで、私が実際に触れて学んできたことを丁寧にお伝えします。美しい菊盆栽の世界を、ぜひ一緒に楽しんでいきましょう。

  • 盆栽仕立てに適した小菊の品種と苗の選び方
  • 理想的な枝ぶりを作るための針金掛けと摘芯の技術
  • 菊盆栽特有の懸崖作りや石付き仕立ての具体的な手順
  • 一年を通じて健康に育てるための水やりと病害虫対策
菊盆栽の1年間の流れ(春:挿し芽、夏:成長・針金、秋:開花、冬:冬至芽)を説明するスライド。

初心者でも挑戦できる盆栽の菊の作り方と基礎知識

菊盆栽を成功させる第一歩は、植物としての菊の性質を正しく理解し、適切な「土台」を作ることです。一年という限られた時間の中で、いかに効率よく、かつ健康に成長させるかが腕の見せ所ですよ。まずは、準備段階で知っておきたい重要なポイントを深掘りしていきましょう。

盆栽に適した小菊の品種選びと苗の入手方法

菊盆栽、特に「小菊盆栽」を美しく仕上げるためには、まず「盆栽に適した品種」を選ぶことが何よりも重要です。一般的に仏花などで見かける大輪の菊(大菊)は、一輪の迫力はありますが、盆栽として小さな鉢に仕立てると、花と幹のバランスが非常に悪くなってしまいます。そのため、盆栽作りでは「小菊(山菊)」を用いるのが鉄則なんですよ。

私がこれまでに接してきた中で、特におすすめしたいのは「盆栽専用品種」として改良された小菊たちです。これらの品種は、節と節の間(節間)が詰まりやすく、摘芯(ピンチ)を繰り返すと脇芽がどんどん出てくるという、造形に適した遺伝的特性を持っています。また、葉が小さく、花径も2〜3cm程度に収まるため、鉢の中に広大な大自然を表現するのにぴったりなんです。ここでは、主要な品種を詳しく見てみましょう。

品種名 花の色 主な特徴とおすすめの仕立て方
秀しじま 黄色 非常に強健で、枝の分岐が極めて良い。懸崖仕立てや模様木に最適です。
秀かおる 枝が柔らかく、針金による曲げに強い。繊細な枝棚を作りたい時に重宝します。
なかよし ピンク 花付きが抜群に良く、初心者の方でも満開の喜びを味わいやすい品種です。
秀みせん 黄色 節間が極めて短く、ミニ盆栽や豆盆栽に挑戦したい方にぴったりです。
すごろく 落ち着いた赤色が美しく、石付き仕立てにすると非常に見栄えがします。
良い苗と避ける苗のイラスト比較。節間が詰まっているものが良い苗であると説明している。

苗の入手方法と選び方のチェックポイント

これらの苗は、通常3月下旬から5月上旬にかけて、園芸店や専門の通信販売サイトで流通します。特に「盆栽専用」と銘打たれた苗を選ぶのが、失敗しないための近道かなと思います。苗を選ぶ際は、以下のポイントをチェックしてみてくださいね。

  • 茎が太く、がっしりとしているもの
  • 葉の色が濃い緑色で、ツヤがあるもの
  • 節間が詰まっていて、ヒョロヒョロと徒長していないもの
  • 害虫(アブラムシなど)が付着していないもの

最近では、ホームセンターでも「小菊」の苗が並びますが、盆栽用と書かれていないものは成長が早すぎたり、花が大きすぎたりすることもあるので、可能であれば専門店での購入をおすすめしますよ。自分で一から育てる楽しみを味わいたいなら、4月〜5月頃に元気な苗を手に入れるのがベストなタイミングです。最初の一歩、楽しみながら選んでくださいね。

排水性と保水性を両立する用土と鉢選びのコツ

菊の栽培において、土作りは「根の健康」を左右する最も重要なプロセスです。菊は成長が非常に旺盛で、水をたくさん吸い上げる反面、根が常に水に浸かっているような「過湿」状態を極端に嫌います。つまり、用土には「水はけ(排水性)」「水持ち(保水性)」、そして「通気性」という、相反する要素がバランス良く求められるんです。

私が試行錯誤の末に行き着いたのは、多孔質で適度な重さがある赤玉土をメインにした配合です。赤玉土は団粒構造を持っていて、粒子と粒子の間に適度な空隙ができるため、根が呼吸しやすい環境を作ってくれます。そこに腐葉土を混ぜることで、保水性と肥料持ち(保肥力)を補います。具体的な配合の目安は以下の通りです。

鉢の中の土の層の図。赤玉土60%、腐葉土30%、川砂10%の黄金比を解説。

菊盆栽におすすめの用土配合(体積比)

  • 赤玉土(小粒〜極小粒):6割
  • 腐葉土(細かく砕いたもの):3割
  • 川砂または桐生砂(排水性アップのため):1割

※さらに緩効性肥料(マグァンプKなど)を少量混ぜ込むと、初期の成長がスムーズになりますよ。

成長に合わせた「鉢上げ」の重要性

鉢選びにもコツがあります。いきなり最終的な大きな鉢に植えるのは、実はあまりおすすめできません。なぜかというと、苗が小さいうちに土の量が多すぎると、根が吸い込みきれない水分が土の中に残り続け、常にベチャベチャした状態になってしまうからです。これが「根腐れ」の大きな原因になります。

成長に合わせて9cm鉢から15cm鉢、化粧鉢へとサイズアップする手順と根腐れリスクの注意。

理想的なのは、成長に合わせて鉢を段階的に大きくしていく「鉢上げ」という手法です。
1. 初期(4月〜5月):3号鉢(直径約9cm)程度。まずはしっかりとした根鉢(ねばち)を作らせます。
2. 成長期(6月〜7月):5号鉢(直径約15cm)程度。枝葉の広がりに合わせてスペースを確保します。
3. 完成期(8月以降):化粧鉢(盆栽鉢)。最終的な観賞用の鉢に移動させます。

また、鉢の素材も大切です。駄温鉢(だおんばち)や素焼き鉢は通気性が良く、育成には最適ですが、乾燥も早いので注意が必要ですね。プラスチック鉢は軽くて扱いやすいですが、水はけにはより注意が必要です。自分のライフスタイルに合わせて選んでみてくださいね。

古い土を再利用する場合は、必ず天日干しをして消毒し、ふるいにかけて微塵(細かい粉)を取り除いてください。微塵が残っていると、鉢の中で目詰まりを起こして水はけが悪くなり、大切な菊が枯れる原因になってしまいますよ。

冬至芽の管理と挿し芽で苗を増やす手順

菊という植物は、多年草です。その生命力の源とも言えるのが、秋の開花が終わった後に株元からひょっこりと顔を出す「冬至芽(とうじめ)」です。この冬至芽は、ただの新しい芽ではなく、厳しい冬を越えて翌年の春に爆発的な成長を遂げるための、エネルギーが凝縮された重要な存在なんです。菊盆栽作りは、この冬至芽をどう扱うかから始まると言っても過言ではありません。

雪が降る屋外で冬至芽を管理する様子。春化のために寒さが必要であることを説明。

冬至芽の冬越し管理

11月頃、花が終わったら地上部を株元から10cmくらい残してバッサリと切り戻します。すると、土の中から小さなロゼット状の芽が出てきます。これが冬至芽です。
菊は寒さに当たることで、植物ホルモンのバランスが整い、翌春に健全な成長をする性質(春化)を持っています。ですから、冬の間は室内に取り込んだりせず、屋外の風通しの良い場所で寒さを経験させてあげましょう。ただし、鉢の土がカチカチに凍りついてしまうような極寒地では、軒下に入れるなどの配慮が必要かも。乾燥しすぎないよう、時々お水をあげるのを忘れないでくださいね。

挿し芽(挿し木)の具体的な手順

4月になり、冬至芽が5〜10cmほどに伸びてきたら、いよいよ「挿し芽」の時期です。これは親株の性質を100%受け継ぐクローンを作る作業で、ここからが本格的な盆栽作りのスタートになります。

挿し芽の4ステップ

穂木を切る(5-7cm)、水揚げ(1時間)、土に挿すという挿し芽の3ステップ図解。
  1. 穂木の採取:元気な芽の先端を、カミソリやよく切れるハサミで5〜7cmくらいに切り取ります。節のすぐ下で切るのがポイント!
  2. 水揚げ:切り取った穂木を1時間ほど水に浸けて、しっかりと水分を吸わせます。この時、水に植物活力剤(メネデールなど)を少量混ぜると発根率が上がりますよ。
  3. 挿し床の準備:肥料分のない清潔な土(赤玉土の極小粒や市販の挿し芽専用土)を準備し、あらかじめ湿らせておきます。
  4. 挿し付け:割り箸などで土に穴を開け、穂木を優しく差し込みます。指で周りの土を軽く押さえて固定し、たっぷりと水を与えます。

その後は、直射日光の当たらない明るい日陰で管理します。2週間もすれば新しい根が出てきて、新芽が動き出しますよ。私はこの、小さな一本の芽が独立した一つの株として力強く根付く瞬間を見るのが、一年の中で一番ワクワクする時間なんです。芽がしっかり動いたら、3号鉢に鉢上げしてあげましょう。

針金掛けの時期と枝を折らないための基本

菊盆栽を単なる「菊の鉢植え」ではなく「盆栽」たらしめる要素、それが針金掛けによる整姿です。草本である菊の茎を自由自在に曲げ、老樹が風雪に耐えて生きる姿を再現していく作業は、最もクリエイティブで楽しい工程ですよ。でも、菊の茎は樹木の枝とは違い、水分が多くてポキッと折れやすいという特徴があります。だからこそ、正しい知識と慎重な操作が求められるんです。

針金掛けの最適な時期

針金掛けには、大きく分けて二つのタイミングがあります。
一つ目は、5月から6月頃の「骨格作り」の時期。挿し芽から成長し、茎がまだ青くて柔軟性があるうちに、主幹の曲がりや基本的な枝の位置を決めてしまいます。
二つ目は、8月下旬から9月上旬の「最終調整」の時期。蕾(つぼみ)が見える前後に、花の向きや枝の広がりを細かく整えます。
真夏の猛暑期は菊が弱りやすく、また茎が硬くなって折れやすいため、大掛かりな針金掛けは避けるのが無難かなと思います。

枝を折らないための鉄則

私が初心者の頃によくやってしまった失敗が、「内側から曲げて折る」ことでした。針金を巻く際は、以下のポイントを意識してみてくださいね。

茎を曲げる際、折れを防ぐために外側に針金を添わせる様子を解説した図。

針金掛けの最重要ポイント

  • 曲げる外側に針金を当てる:曲げる際に一番負荷がかかる「凸」の部分に針金が通るように巻いてください。針金がギプスのような役割をして、皮が裂けるのを防いでくれます。
  • アルミ線を使用する:菊盆栽には、柔らかくて扱いやすいアルミ線が最適です。銅線は硬すぎて菊の茎には向きません。
  • 事前の水控え:針金を掛ける前日や当日は、あえて水やりを少し控えて、茎を少ししなびた状態にします。水分がパンパンに詰まった状態よりも、少し柔らかくなっている方が折れにくいんですよ。

もし少しでも「パキッ」と音がしたり、ヒビが入ってしまったら、すぐに癒合剤(トップジンMペーストなど)を塗って、テープで固定してあげてください。菊の再生力は強いので、軽微な傷ならつながることも多いですよ。詳しい針金の種類やサイズ選びについては、こちらの記事も役立ちます。

盆栽の針金掛けのやり方|適切な太さの選び方と巻き方の基本

焦らず、菊の声を聞きながら、ゆっくりと形を作っていきましょうね。

苗を45度の角度で斜めに植え付けて、滝のように垂れ下がる姿を作る方法の解説図。

枝数を増やして形を整える摘芯のやり方

菊盆栽の美しさを決めるのは、何と言っても「花の密度」です。鉢いっぱいに、あるいは各枝棚にびっしりと花を咲かせるためには、「摘芯(ピンチ)」という作業が欠かせません。もし摘芯を一度も行わずに放っておくと、菊は「頂芽優勢(ちょうがゆうせい)」という性質によって、一本の茎がヒョロヒョロと高く伸びるだけで終わってしまいます。これを人工的に止めることで、眠っていた脇芽を呼び覚ますわけですね。

摘芯前(1本)と後(複数に分岐)の比較イラスト。枝数と花数を増やすテクニックを解説。

摘芯の具体的なタイミングと回数

摘芯は、苗が育ち始める5月から、花芽が分化し始める8月中旬〜下旬頃まで、繰り返し行います。
1. 第一回目:挿し芽が根付き、本葉が5〜6枚展開した頃。先端の芽を1〜2cmほど摘み取ります。
2. その後の繰り返し:摘芯した場所から出てきた脇芽が、また3〜5枚ほど葉を展開したら、その先を摘み取ります。
これを繰り返すことで、枝が2本、4本、8本……と倍々ゲームのように増えていき、最終的には緻密な枝ぶりが完成しますよ。

樹形別の摘芯のコツ

目指す形によっても摘芯の仕方は少し変わります。

  • 直幹・模様木:主幹(中心の太い茎)は生かしつつ、横に広がる「枝」の部分を重点的に摘芯して、厚みのある枝棚を作ります。
  • 懸崖:主幹の先端は伸ばし続け、側枝(脇から出る枝)を細かく摘芯して、全体が紡錘形(ラグビーボールのような形)になるように整えます。

摘芯を止める時期を「芯止まり」と呼びますが、これはだいたい8月20日前後が目安になります。この時期を過ぎて摘芯を続けてしまうと、花芽を切り落としてしまい、秋に花が咲かなくなることがあるので注意してくださいね。

私はいつも、朝の涼しい時間に菊の様子を見ながら、爪先で「ポンッ、ポンッ」と芽を摘むのが日課になっています。この小さな一手間が、秋の豪華な開花につながると思うと、全く苦にならないから不思議ですよね。皆さんもぜひ、菊との対話を楽しんでみてください。

理想の樹形を叶える盆栽の菊の作り方と管理術

基本をマスターしたら、次はより高度な「表現」の世界に足を踏み入れてみましょう。菊盆栽の醍醐味は、たった数ヶ月で数十年経った樹木のような風格を作り出せることにあります。ここでは、代表的な仕立て方の技術と、美しい花を咲かせるための日々のメンテナンスについて詳しく解説します。

懸崖作りでダイナミックな樹形を演出する技法

菊盆栽の中で最も華やかで、かつ高度な技術を要するのが「懸崖(けんがい)」です。高い崖から根を張り、重力に逆らうように力強く、あるいは優雅に垂れ下がる姿は、見る人を圧倒する魅力があります。これを一年で作るためには、計画的な誘引と管理が必要です。

懸崖作りのステップバイステップ

懸崖作りは、苗がまだ若いうち(5月〜6月)から準備を始めます。
1. 傾斜植え:まず、苗を鉢に植える際に、あえて最初から斜めに植え付けます。これが懸崖の角度のベースになります。

苗を45度の角度で斜めに植え付けて、滝のように垂れ下がる姿を作る方法の解説図。

2. 主幹の誘引:竹やアルミの支柱を使って、主幹を鉢の縁から下方へと誘導していきます。一気に曲げようとせず、数日おきに少しずつ角度を深くしていくのが折らないコツですよ。
3. 枝棚の配置:主幹から出る脇芽を左右、そして上方向へとバランス良く配置します。下方向には枝を作らないのが一般的です。これは、太陽の光を効率よく浴びるための自然な姿を再現するためですね。
4. 先端の管理:懸崖の先端(一番低い部分)は、最も成長が遅れがちです。ここを強く育てるために、時々鉢を逆さまに置いたり、先端に日光がよく当たるように配置を工夫したりするテクニックもあります。

北海道型懸崖の美学

菊盆栽の世界には、特に厳しい自然環境を模した「北海道型」というスタイルがあります。これはエゾマツなどの巨木が渓谷に垂れ下がる姿を模範としており、天に向かう主幹(天幹)と、前に垂れる懸崖主幹の比率などが厳密に決まっています。
最初はこうした型にこだわりすぎず、自分が「かっこいい!」と思えるラインを探してみるのが、趣味として楽しむ一番の秘訣かなと思いますよ。鉢一面に隙間なく花が咲き揃い、滝が流れ落ちるような姿を目指して、じっくり取り組んでみてください。

石付き盆栽の制作手順と根を固定するポイント

岩場に力強くしがみつく老樹の姿を表現する「石付き(いわつき)」は、菊の旺盛な発根力を活かした素晴らしい技法です。草花であるはずの菊が、ゴツゴツとした岩肌と一体化している姿は、まさに盆栽ならではの芸術性と言えますね。

根洗い法による石付きの作り方

石付きを作るには、まず根を露出させる「根洗い」という作業が必要です。
1. 石の選定:適度な凹凸があり、根が掛かりやすい石(龍眼石や軽石、真黒石など)を選びます。石そのものの形が風景を作るので、じっくり選びましょう。
2. 根洗い:5月頃、ある程度根が回った苗を鉢から抜き、バケツの中で優しく土を洗い流します。根を傷めないよう注意してくださいね。
3. 配置と固定:石の正面を決め、根を石のくぼみや溝に沿わせて配置します。ここで活躍するのが「ケト土」です。粘土状のケト土を根の上から塗り付け、石にピタッと密着させます。さらに、麻ひもやビニール紐で石ごと根をぐるぐる巻きにして固定することもあります。
4. 養生:石を鉢に据え、根を土で覆ってしばらく管理します。数ヶ月経って根が石をしっかり掴んだら、少しずつ土を取り除き(根出し)、最終的に石と根が露出した姿に仕上げていきます。

苔と化粧砂での仕上げ

根が石に定着したら、仕上げに苔を張ります。苔は見た目を美しくするだけでなく、根を乾燥から守る大切な役割も果たしてくれますよ。
最後に白い化粧砂を敷けば、荒波が打ち寄せる海岸や、深い山中の渓谷のような景色が完成します。この「小さな宇宙」を作り上げる感覚は、一度味わうと病みつきになってしまいますよ。

石付き成功の秘訣

  • 根が石の底まで届くように配置すること(栄養が吸収できるように)
  • ケト土を乾燥させないよう、霧吹きなどでこまめに保湿すること
  • 石の質感と菊の品種(花の色)の調和を考えること

成長を促す水やりと時期に合わせた肥料の与え方

菊は「肥料食い」で「水好き」ですが、その与え方には繊細なコントロールが求められます。特に一年という短期間で造形を完成させる盆栽では、肥料と水は成長の「エンジン」そのもの。ここでは、そのエンジンを効率よく回すためのコツをお話しします。

灌水(水やり)の極意

春(朝1回)、夏(朝夕2回)、秋(乾きをチェック)という季節ごとの水やりルールを説明したスライド。

基本は「乾いたらたっぷり」ですが、菊盆栽の場合は鉢が小さいため、乾くスピードが非常に早いです。

  • :午前中に1回。新芽が伸びる時期なので、水切れさせないように。
  • :朝夕の2回。真夏は数時間でカラカラになります。夕方の水やりは、鉢の中の温度を下げる効果もあるので欠かさないでください。
  • :蕾が膨らんだら、決して水切れさせないこと。一度でもひどく乾かしてしまうと、花が綺麗に開かなくなることがあります。

科学的な施肥(肥料)計画

肥料は、大きく分けて「元肥(もとごえ)」と「追肥(ついひ)」の二段階で考えます。
菊が最も必要とするのは窒素(N)、リン酸(P)、カリ(K)の三要素です。特に花を美しく咲かせるためにはリン酸が重要になります。
私は、元肥として緩効性肥料を土に混ぜ、成長期には週に1〜2回、薄めの液体肥料(ハイポネックスなど)を水やり代わりに与えています。いわば「点滴」のように少しずつ、継続的に栄養を送るイメージですね。

4-5月は体づくり(固形)、6-8月はブースト(液肥)、9-11月は花づくり(リン酸多め)と時期で肥料を変える説明。
時期 肥料の種類 目的
4月〜5月 緩効性固形肥料 挿し芽後の初期成長と根張りの強化
6月〜8月 固形肥料+液体肥料(週1〜2回) 枝数を増やすための旺盛な成長(ブースト期間)
9月以降 リン酸多めの液体肥料 花芽の充実と美しい開花のため

なお、肥料の種類や具体的な使い方については、メーカーの公式な栽培ガイドも非常に参考になりますよ。(出典:株式会社ハイポネックスジャパン『植物の育て方ガイド』

水やりについても、こちらの基本記事で再確認しておくと安心です。
盆栽の水やりの基本!季節ごとの回数や時間帯を解説

枯れる原因を防ぐ病害虫対策と日常の点検

丹精込めて育ててきた菊が、開花直前に枯れてしまったり、害虫でボロボロになってしまったりするのは本当に心が痛みます。菊は残念ながら、病害虫に非常に好かれやすい植物でもあります。「あれ、おかしいな?」と思った時にはすでに手遅れ、ということも多いので、予防と早期発見がすべてです。

菊を枯らす三大病害虫

アブラムシ(新芽)、ハダニ(葉裏)、立枯病(全体)の症状を虫眼鏡で拡大して見せる解説図。
  1. アブラムシ:春と秋に発生。新芽や蕾にびっしりと付き、汁を吸って弱らせます。ウイルス病を媒介することもあるので要注意です。
  2. ハダニ:夏場に発生。葉の裏で繁殖し、葉を白っぽくカスリ状にしてしまいます。ひどくなると葉が枯れ落ちてしまいます。
  3. 立枯病(たちがれびょう):土の中のカビが原因。ある日突然、株全体がグッタリと萎れてしまい、こうなると治療は非常に困難です。

効果的な防除のポイント

私は「オルトラン粒剤」を土に撒いて、根から薬を吸わせる方法をベースにしています。これだと、あらかじめ植物全体にバリアを張るような効果があるので、アブラムシの予防にはとても有効ですよ。
また、ハダニ対策には「葉水」が有効です。水やりの際、葉の裏にも勢いよく水をかけるだけで、ハダニの増殖をかなり抑えることができます。これはお薬に頼らない、環境に優しい方法ですね。

殺菌剤・殺虫剤使用の注意点

お薬を使う際は、必ず「菊」に登録があるものを選び、記載された希釈倍率を厳守してください。濃すぎると「薬害」が出てしまい、逆に菊を痛めてしまうことがあります。また、同じ薬を使い続けると虫が抵抗性を持ってしまうので、2〜3種類の薬をローテーションで使うのが賢いやり方かなと思います。

日常の点検では、葉の色の変化や、新芽の縮みがないかをよーく見てあげてください。菊との距離が近いほど、トラブルにも早く気づけるはずです。

盆栽の菊の作り方をマスターして展示会を目指そう

4月から11月までの、植え替え、摘芯、針金、肥料の作業タイミングをまとめた早見表。

ここまで、盆栽の菊の作り方について、その深い世界を一緒に旅してきましたがいかがでしたでしょうか。一年という短い時間の中で、芽生え、成長し、形を成し、そして豪華に咲き誇る。菊盆栽は、まさに人生の縮図のようなドラマチックな体験を私たちに与えてくれます。

最初は枝を折ってしまったり、水やりを忘れて萎れさせてしまったりすることもあるかもしれません。でも、心配しないでください。私自身も数え切れないほどの失敗を繰り返してきました。大切なのは、失敗から学び、また次の春に新しい芽と向き合うことです。菊は私たちの努力に必ず応えてくれる、とても誠実な植物ですよ。

この記事でご紹介した数値や時期は、あくまで一般的な目安です。お住まいの地域や毎年の気温の変化によって、最適なタイミングは前後します。正確な情報や地域の特性については、近隣の盆栽店や菊花展のスタッフ、専門家などに相談してみるのも一つの手ですよ。

秋の夕暮れ、自分が丹精込めて育てた菊盆栽が満開を迎え、その芳醇な香りが漂ってくる瞬間。それは何物にも代えがたい至福のひとときです。皆さんもぜひ、今年から「盆栽の菊の作り方」に挑戦して、自分だけの名品を生み出してみてください。いつか展示会などで、皆さんの素晴らしい作品に出会えることを楽しみにしています!

笑顔で菊盆栽を手入れする年配女性の写真
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